日本共産党近松さと子の活動日記№2

広島市中区選出の市議会議員です。

平成31年度広島市一般会計予算などに反対した討論

第一回定例会議案について討論を行いました。
第1に、大型開発事業優先で、市民の命と財産守る防災事業が後回しになっています。
この5年間に2度の土砂災害が発生し、多数の犠牲者を出し、住まいが奪われました。深刻な自然災害があいつぐなか、防災対策の強化は最優先課題のはずです。しかし、広島市が施工する急傾斜地崩壊防止対策に充てるのは、昨年度並みの7億円です。県の予算がつかないと実施できないとして、住民が要望書をだしている33カ所が完了するのに10年かかると答弁されました。市内で市施工の対象となる急傾斜地は、あと400か所が未整備です。仮に400か所すべての箇所で要望が出されたと仮定すれば、33カ所で10年かかるのなら単純に計算すれば、整備を完了するのに100年以上かかるということになります。従来の延長線上では、到底市民の命も財産も守れません。
今、二葉山トンネル工事費の増額が問題になっていますが、わが市議団は、これまでわずか3分間空港へのアクセス時間を短縮するために1200億円をつぎ込むのは無駄遣いだと反対してきました。今回、この事業を直接行う広島市高速道路公社と大林組などゼネコンは、一旦200億円でトンネル工事の契約をしたのに、契約に内部工事が含まれていなかったという常識で考えられないことを言い出しました。市も公社もその言い分に理があるからと増額するというのです。しかも、トンネル工事を開始した9月よりもずいぶん前に分かっていたのに掘りはじめてから、問題を公表するなど、ゼネコンいいなりの増額ありきと言わざるをえません。青天井に税金をつぎこむことは、費用対効果の低い浪費トンネルと認定するようなものであり、きっぱり工事を中止すべきです。
今後、公共施設や橋・道路の老朽化対策に莫大な費用が掛かる試算も出され、施設の統廃合も検討されます。いつ起きてもおかしくない南海トラフの地震の発生確率も高まる中、公共事業は防災や老朽化対策優先に転換すべきです。


第二に、国の社会保障削減、消費税増税など市民のくらしを壊す悪政から、市民の暮らしを守る防波堤の役割を果たしていないことです。
実質所得も家計消費も落ち込んでいる下で、今年10月からの消費税10%増税を許せば、市民のくらしを直撃します。政府がどんな「対策」を打ち出しても、8%への増税による消費不況を一層深刻にするとともに、低所得者ほど負担が重いという逆進性によって、市民の間に貧困と格差をますます広げることになります。市民のくらしを支える財源は、アベノミクスでもうかった富裕層や大企業に応分の負担を求めて、きっぱり10%の増税中止を政府に求めるべきです。
ましてや、消費税増税を理由とした公共施設使用料・利用料の値上げは便乗であり、反対です。市立病院機構の各種料金の値上げや市営駐車場料金の値上げも市民の暮らしを守る立場から反対です。

○遅れている子どもの医療費補助についてです。対象年齢を広げましたが、全国に例のない新たな所得基準を持ち出して、6歳までの1万3000人への補助が実質的に打ち切られました。このことは、限定的とは言え受診抑制を招き、医師会や市民団体から大きな批判を浴びました。ところが、財源がないからといいながら、実際は、新たな負担をもとめなくても当初の予算で十分賄えておつりがくるものでした。それなのに、新年度予算で、新たな負担をなくすこともせず、遅れている年齢拡大もおこなわず、前年度と比べて3億円も事業費を減額するなど、到底理解できません。
県と市が共同でおこなった子どもの生活実態調査では、医療費補助の年齢を中3までとしている自治体で経済的な理由での受診抑制がゼロだったといいます。中3までの対象拡大は待ったなしです。

○また、高齢者にとって大事な制度である公共交通機関利用助成の助成額を3000円に半減させて6億円の予算を2億円削る一方で、企業立地促進補助金を大企業1社に10億円も無駄にばら撒くというのは、極めてアンバランスな市政運営です。企業立地促進補助金については、これまで繰り返し批判してきた中で対象業種や補助金の上限額を見直しましたが、まだ、2つの事業所についてそれぞれ上限額10億円が補助金として支給される予算となっています。このようなことを容認するわけにはいきません。

◎ ふくしま第二保育園についてですが、本予算には、西区のみどりの森みらい保育園の分園設置の予算が出ています。
ふくしま第二保育園を廃園にする問題で、近くに新たな民間保育園ができても、それでも保育需要があるから第二保育園は必要ではないかと追及すると、この地域は、今後保育需要がなくなるから必要ないと、市は言っていました。ところが、民間保育園に隣接して、市の土地を無償貸与という優遇措置をとってまで、民間保育園の分園をつくる予算になっています。保育需要があることを認めた、地域住民や我々議会にウソを言っていたということです。ならば、敢えてふくしま第二保育園を廃園にするのではなくて、その土地にふくしま第二保育園を移設するべきです。市のやり方は到底認められません。

○教育について、いじめが原因で生徒がなくなるという痛ましい事件が起きました。解決策のひとつは、教員を増やし、学級の少人数化と受け持ち授業数を減らすことです。しかし、予算案では、周辺条件の整備に留まっています。現在、中学1年生まで35人学級ですが、松井市政になってから中学3年生まで引き上げてほしいという切実な声に背を向け続けています。
さらに、中学校デリバリー給食の喫食率が低いことに対して、民設民営の給食センター方式への転換が最有力の選択肢という答弁が行われています。小学校の時と同じように学校の調理室でつくられたあたたかい中学校給食の実現をもとめます。

○平和行政についてですが、被爆地ヒロシマから世界に向けて発信する平和式典で、目の前に座っている安倍首相にむけて、核兵器禁止条約への署名を求めることができない姿勢は、被爆地の市長として情けないという声が上がっています。自分の国の政府の態度を変えることができないのに、核兵器のない世界が本当に実現できるのかという被爆者の問いかけにこたえるべきです。被爆地ヒロシマの特別の役割を果たされるようもとめます。

〇新年度は、保険料軽減のため行ってきた一般会計からの法定外繰り入れを1億5千万円削減し、1.58%の値上げを行うものです。これ以上、高すぎて払えないと悲鳴が上がっている保険料の値上げを容認することはできません。
 また、国の法改正により保険料上限額が3万円引き上げられますが、保険料率を引き下げ、上限額をなくして所得に応じた保険料とすべきです。
国民健康保険制度に構造的な問題があるのは、今や共通認識となっています。これを解決するために、日本共産党は提言を出しました。全国知事会が求めている公費1兆円の投入でサラリーマン健康保険並みに保険料を引き下げることや子どもが増えれば保険料も増える応益負担割の廃止をもとめる内容です。払える保険料にして市民の命と健康を守る国民健康保険制度に改善すべきです。

〇この間すすめられた要支援1・2の方の介護保険外し・市町村事業への移行やホームヘルプサービスの利用回数の制限、最大3割になった利用料本人負担、特養ホームの待機などで、高い保険料を払っているのに必要な介護を受けられない事態が懸念されています。
今回の基準条例などの改定は、国の「地域包括ケア法」の施行に伴い行うものです。今回、実施される共生型サービスは、介護保険事業者と障がい福祉サービスの事業者がそれぞれのサービスの指定を受けやすくするものです。しかし、障がい者が65歳を超えて同じ事業所を利用できるようになっても、従来の障がい福祉サービスから後退し、負担増を招いた介護保険優先原則の問題の解決どころか固定化につながりかねません。
また、介護療養病床の受け皿として、介護医療院が創設されました。人員配置やサービス基準の緩和で、現場からは、介護・医療の質が低下することや、新たな施設が病床削減の受け皿になりかねないことへの懸念・不安が出されており、賛成できません。

最後に、予算審議の中で、安芸消防署の幹部職員が、私的に公用車を使用し飲み会に行ったことを市当局は求めました。あってはならないことです。市民の信頼を失墜する重大問題と捉え、再発防止に努めることがもとめられています。
また、公用車に同乗していた職員以外の者というのは、現職の市議会議員との報道もありました。議員の役割は、行政のチェック役を果たすことです。特に、議員と職員の馴れ合いは改めるべきですし、職員を私物化するような関係など絶対あってはなりません。

以上のことを申し述べて討論を終わります。